地方には、人を育てる、地方ならではの「環境」があります。地方ならではの「つながり」があります。その特性を最大限に活かし、卒業後も、慣れ親しんだ地方で、世界の架け橋になる高度外国人財を育てたい。この熱い思いをもって、「グローカル・ハタラクラスぐんま(GHKG)」プロジェクトは、地方都市・群馬で、産学官金協働の力を集めて5年間の取組をすすめました。応援をくださったみなさま、ありがとうございます。
地方愛を持ち、地域での生きがいに気づき始めた外国人留学生と、多文化交流の面白さに触れ、一緒に歩き始めた日本人学生たち。これらの「地域未来人財」がグローカルに活躍できる地域づくりのために、これからも産学官金の緊密な連携で歩み続けて参ります。
本取組で開発した教育プログラム グローカル・リーダーシップ・プログラム(GLLP)の有効性の検証を、外国人留学生の受講状況に基づき、国内及び群馬県内企業の就職率を比較しました。その結果、下図に示すように、年間250時間の全てのカリキュラムを受講した学生の国内の就職率は、96.7%と極めて高く、カリキュラムを一部受講、あるいは、全く受講しなかった学生に比べると、それぞれ約1.5倍、約2.3倍となっていました。
群馬県内の就職率への影響をみると、全てのカリキュラムを受講した学生の県内就職率は、カリキュラムを一部受講した学生の約2.2倍、全く受講しなかった学生の約6.0倍にのぼりました。開発した教育プログラムは、日本国内の企業への就職率向上にも一定の効果を及ぼすが、県内企業の就職率向上に、より一層の効果はあることを示しています。
外国人留学生に対する「日本語教育」、「キャリア教育(日本企業論等)」、「インターンシップ」を一体として提供する質の高い教育プログラム(以下「留学生就職促進教育プログラム」という。)を文部科学省が認定し、当該プログラム修了者が就職活動において各大学が発行する修了証明書を提示することにより、外国人留学生の国内企業等への就職を一層促進することを目的として、実施されています。
この制度は、令和3年度に導入され、10月28日に群馬大学を含む9大学(※)が、「留学生就職促進教育プログラム」の認定を受けました。
(※)群馬大学 東京大学 長岡技術科学大学 山梨大学 信州大学 静岡大学 愛媛大学 関西大学 徳山大学
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1386454_00006.htm
「グローカル・ハタラクラスぐんま」プロジェクト 企画・運営担当
結 城 恵
(群馬大学 大学教育・学生支援機構 教授(兼)同大学 社会情報学研究科 教授)
全国的に進む生産年齢人口の減少により生まれた人財不足。企業の事業拡大の主戦力となる、高度人財の不足もまた、さまざまな業界・地域で深刻化しています。群馬県にも、その傾向は着実に現れており、企業関係者のみなさまからのご相談も増えて参りました。卒業後の就職先に、東京・群馬・帰国の3つの選択肢をもつ留学生が、「群馬」を積極的に考える流れを生み出すことは、群馬県の喫緊の課題のひとつと言えます。この取り組みがその課題解決に少しでも多く貢献できたらと思います。
本HPでは、「よそ者・若者・留学生」の県内定着を目指し、県内産学官金関係者がコンソーシアムを組み、オール群馬で取り組んできた、「グローカル・ハタラクラスぐんま」プロジェクトの一端をご紹介しました。改めて振り返ってみると、ずいぶんと学生たちには、ドキドキ・ハラハラな経験をさせてきたと思います。それは、社会人になった後に、冷静かつ柔軟に、楽しみながら困難を乗り越えられるようにという思いで、関係者とともにあえて仕掛けたことでした。
本取組を記録する数々の写真を振り返ってみると、学生たちは、こんな表情や仕草で、緊張や不安を乗り越えていたのか、と感じられるものもあります。いつの間にかチームワークが育ち、自分に自信をもって、力強い日本語で自分の考えを表現できるようになったことに気づかされました。
これも、本プロジェクトに惜しみない協力をくださっている産学官金の関係者のみなさまのおかげです。ご協力くださっているみなさまが、学生たちのロールモデルになっているから、学生たちが卒業後も群馬に根差そうとするのだと実感しています。心からお礼申し上げます。
「グローカル・ハタラクラスぐんま」プロジェクトは、これからも継続して参ります。みなさまとともに地域の未来に活き活きと活躍する人財をしっかりと育てて参ります。今後ともよろしくお願いします。
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