「グローカル・ハタラクラスぐんま」プロジェクトの
推進による留学生の受入環境充実事業
グローカル・リーダーとして群馬県の産業を牽引し活躍する、優秀な外国人留学生を養成する | グローカル・リーダーシップ・プログラム(GLLP) モデル事例の構築 |
「グローカル・リーダーシップ・プログラム(GLLP)」は、本プログラムのコンソーシアムに参加する、教育機関・地方公共団体・民間企業・金融機関関係者と協議を重ね、2017年に定めた「養成すべき人財像」に基づき開発されています。その人財像とは、以下の3つの資質を持つ人財としています。
①群馬県に愛着を持ち、群馬県の社会・経済・文化等の持続可能性を高めることに 貢献できる人財。
②群馬県を拠点に、グローバルな視点で高度人財として活躍するグローカル地域創生の担い手としての企画力・実践力を備える人財。
③生まれ育った文化や社会が異なる人々が、それぞれの特性を活かしながら、共に暮らし働く多文化共生・ダイバーシティ社会を生きるコミュニケーション力・リーダーシップ力を備える人財。
「養成すべき人財像」に基づき、「首都圏」隣接型「地方圏」である群馬県の特性に合ったインターンシップとして、GLLP【地域対応型】インターンシップ・プログラムと【業界対応型】インターンシップ・プログラムを構想しました。
具体的な「地域」を想定し、その「地域」が目標としている具体的なテーマで、産業の地域における持続可能性とグローバル展開に、外国人留学生を活用する課題解決型インターンシップです。社会人の基礎となる人間力を磨き、プロジェクトに関わる地域内外の企業との接点を高め、群馬県への愛着も高める、というものです。
具体的な「業界」を想定し、留学生には、対象となる業界や業種、企業のグローカル展開を理解する業務遂行型のインターンシップ。その業界・企業で、外国人留学生としての特性がどのように活かせるのかを、具体的に模索し、適性にあった企業のマッチングを図ります。事業展開の戦力となる高度な知識・技能を持つ「外国人留学生」の積極的な採用について考える企業に対して、「外国人留学生専用」インターンシップを開設していただき、外国人留学生の特性を意識的に活用するための、人材の発掘と受入環境整備をご検討いただくというものです。
本事業で取り組んだのは、「養成すべき人財像」にアプローチする、【地域対応型】インターンシップ・プログラムと【業界対応型】インターンシップ・プログラムのモデル事例を創り出すことです。地域・企業関係者のみなさまとともに、試行錯誤しながら成功事例(=モデル事例)を築くことで、群馬県内の多様な地域や業界に応用展開が可能になります。
【地域対応型】インターンシップ・プログラムは、川場村、【業界対応型】インターンシップ・プログラムは、サンデンホールディングス株式会社が、このモデル事業づくりに協力くださいました。
群馬県北部に位置し、面積85.25km2、人口わずか3,302人、主たる産業は農業と畜産、高齢化率は34.2%という特徴をもつ村です(2019年1月1日現在)。しかし、この小さな村には、年間190 万人を集客する道の駅があります。また、国内外の日本酒コンクールで連続高位受賞を決める酒蔵も2蔵あります。さらに、世界一高価でギネス記録にも認定されたブランド米も生産されています。
川場村は、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに参加する米国選手団のホストタウンに、2016年12月に登録されました。このインターンシップ・プログラムで取り組む課題として、川場村から頂いたのは、これにより急増するだろう外国人観光客の受入環境整備に関するものでした。すなわち、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしての環境整備を進めるため、外国人観光客にとって魅力あるスポットをインターンシップに参加した者だから気づいた視点で発信せよ」です。
この課題の解決に少しでも多く貢献できるようにと、「よそ者・若者・外国人留学生」の目で決に少しでも多く貢献できるよう、2017年度に、事前事後指導を含め、全2週間のインターンシップ・プログラムを実施しました。その詳細は、「活動報告」をご覧ください。
GLLP【地域対応型】インターンシップin川場村は、その地域課に、「よそ者・若者・外国人留学生」がどのように貢献できるのかを、外国人留学生と地域・企業関係者の双方が確認しあう機会となりました。結果として、外国人留学生のみならず一緒に参加した日本人学生も強い愛着を、川場村の自然や会社や人々に抱くようになりました。インターンシップ・プログラムが終わった後も、継続して足を運び、社会人になったとも声を掛け合って訪問する関係が続いています。そして、GLLP【地域対応型】インターンシップin川場村に参加した外国人留学生と日本人学生から、川場村の企業への就職に内々定をいただいたものが生まれたということも、特筆すべきことです。
解決すべき地域課題は、どの自治体も抱えています。GLLP【地域対応型】インターンシップ・プログラムin川場村が、他の自治体、他の課題でも応用展開可能となるように、その設計と過程、効果を可視化していくことに取り組みました。
日本の就職活動は、世界的に見ても独特な方法で実施されていると指摘され、留学生にとっては母国での就職活動との違いを理解して就職活動を行うことが困難になっています。さらに、留学生も日本人学生と同じ採用枠・方法で募集されるため、留学生にとっては日本での就職活動に乗り遅れることになり、企業にとっては留学生人財にアプローチしにくいという状況があります。群馬大学が中心となって、2016年1~3月に県内の企業1,000社に実施した県内企業における留学生採用実態調査では、留学生の採用に関心をもつ企業であっても、63.0%が「留学生の募集の方法がわからない」、78.7%が「人事管理の方法がわからない」ことが判明しました。
そこで、【業界対応型】インターンシップでは、群馬県内に拠点を置き、世界展開を図っている優良グローカル企業で、外国人留学生をインターシップ生として受け入れた実績のない企業に協力いただき、外国人留学生を受入れるインターンシップの開発を図り、選考・採用に至るまでの仕組みづくりを進めることとしました。
ご協力いただいたのは、群馬県伊勢崎市に本社をおく電気機器メーカー、サンデンホールディングス株式会社です。2020年で創業77年目を迎える企業で、「地球と人にやさしい次世代の空調システムを追求」し、23カ国54カ所の拠点から世界各国の自動車メーカーや建機・農機メーカーに自社製品を供給しています。また、10 年前に財団を設立し、地球環境保全と新産業の創出に貢献する次世代の育成にも積極的に取り組んでいる企業です。
【業界対応型】インターンシップ・プログラムは、具体的な「業界」を想定し、その「業界」に特化した就職活動が展開できるように、初歩から就職まで徹底して指導・支援しようとするものです。「スタートアップ・セミナー」と「ステップアップ・セミナー」の2つの事前指導を経て、インターンシップを実施し、事後指導をするという、2週間のインターンシップ/プログラムです。外国人留学生は、このインターンシップ・プログラムで得た知識と経験をもとに、自分自身で「就職活動」を展開し、「採用」を目指していきます。
対象となる留学生も、第1段階にある「スタートアップ・セミナー」は、学部1年生以上、「ステップアップ・セミナー」は、スタートアップ・セミナーを受けた学部2年生以上を対象とし、インターンシップは、「ステップアップ・セミナー」を受けた学部3年生以上を対象(学部・大学院の最終学年を除く)としました。